中学受験に限った話ではないですが、「子どもが勉強しない」「塾の宿題とかテスト勉強をやる気が全く見えない」などという親の悩みは、何十年も前から変わらず聞こえてくる話です。
中学受験に限った話をすれば、基本的にほとんどの子の場合は「親が中学受験をさせることを決めて」「子どもは塾に通わされている」のが現実だと思われます。そもそも中学を受けるということの意味もよく分からぬまま、習い事のひとつのように塾通いをする日常があるだけだったりする子も結構いるはず。「なんで勉強しなくてはいけないのか」などと考える以前に、そもそもゲームしたり、動画を見たりしたいと思うのは当然のことなんですよね。
これでもし父親(旦那)が、「子どもは伸び伸び教」を信じるような中受否定派だったりすると悲劇です。「小学生は遊ぶことが大事なんだよ」なんて言い出したりして。いやまあ、遊ぶことが大事じゃないとは言いませんけどね。でも、生活費の中から結構な高額を塾に払っていたりするわけですよね。成績も低迷が続いたり、塾のクラスはずっと一番下が続いたり、塾の先生との面談で「授業中は寝てるかしゃべってるかです」「そもそも板書がマトモにできてません」とか言われたり…
なんだかリアルですよね。これは我が家の話なのです(涙)。別に我が家は夫婦ともに「伸び伸び教」の信者では決してなかったんですよ。でも、6年生の秋の時点でも「速さ×時間=距離」なんて全く分かってなかったし、分数・小数の計算もおぼつかず、歴史的事件など1つも覚えてなく、都道府県も全部は言えず、理科なんてもう壊滅状態…
こういうことを言うと、昨今は塾講師を名乗るようなアカウントですら「そんな子は中学受験したって無駄」「塾の養分」とか言うんです。親の気持ちになってみろよ。無駄だと言われたってやるしかないんだよ。費用対効果的に無駄だから中学受験やめるぞとでも我が子に言えってか…なんて思わずにはいられませんでした。
どんなに子どもがヤル気を見せなくても、成績が上がらなくて地を這うような状況でも、そう簡単に中学受験をやめるわけにはいかないのなら…やるしかないじゃないですか。「子どものヤル気アップ・プロジェクト(KYP)」です。Kの部分にはお子さんのイニシャルを入れてくださいね。腹をくくれば何だって出来ますよ。
選択肢は3つあります。いずれにせよ「親は役者になる」必要があります。別にたいしたことではありません。小学校に入る前に、子どもと本音でぶつかっていた親なんていませんよね。小学校も高学年になると、親も演技派から自然体派になってくるじゃないですか、子どもに対して。それをまた演技派に戻すだけです。
さて、3つの選択肢ですよね。話を戻しますね。
【1】甘やかしまくる
【2】鬼になる
【3】上司(部長)になる
極端ですけど、この3つしかないと思います。これは保護者の方にも代々おススメしてきている選択肢なんです。きわめて真面目な話ですよ。
【方策1】甘やかしまくる
まさに未就学児の時期に戻すやり方です。「いいよ~」「そうなの~」「がんばれ~」みたいに語尾を伸ばしてみたりして。首をかしげて微笑みかけて。その心はといえば…「おもいっきり小さい子扱いしてやる」ことです。
ちょっと背伸びしたい年頃の小学生にとって、親から「小さい子ども扱い」は耐え難い屈辱のはずです。これ実は、私が中学受験時代に親から喰らいました。ていうか、オトナになっても喰らい続けました。延々続けるとトラウマになるのでやめましょうね。親(=自分)が死んだ後も恨まれますからね。あくまで中学受験塾に通っているのに「やる気をみせない状態の時」限定がいいと思います。
直接勉強しろと親に文句言われると、子どもとしては、ますます勉強する気がなくなる気持ちはよくわかるんですよ。私もそうでしたから。「言っても」やらないのなら、「言わない」しか選択肢はないですよね。でも「言わない」だけじゃ現状は変わらない。だったら子どもにとって「不快な状況」を親が作り出すしかないという心理的作戦です。プライドの高い子には有効です。あ、だから私も親から喰らったのかな…
【方策2】鬼になる
正直言えば「鬼になる役」の人がいないと、小学生くらいの頃は頑張れないタイプがいるのも間違いないところです。令和の世の中では完全否定されること間違いなしの選択肢です。他人には言えません。中学受験前の時点で、親子の絆が「それなりに」あるはずだと(思い込みでもいいので)思えるようなら、この選択肢を選んでもいいのかもしれません。あまり、おススメはしませんけどね。
私もわりとそういうタイプという自認があるのですが、世の中には「他人のためなら頑張れる」けど、「自分のためには頑張れないで諦める」タイプのひとというのが一定数います。そういう子には、この【方策2】が向いているかもしれませんが、問題は子どもが小学生の時点で、その気質が親に分かるのかということですね。ほかには、承認欲求が強いタイプも、この方策が合っているかもしれません。
まあでも、何度も言いますがおススメはしません。最後の手段かもしれません。
【方策3】部長になる(上司になる)
これは保護者の皆さまにおススメしてきた方策です。「部長になれ」とお話ししたところ「え、私いま部長なんですけど」と言われたことがありまして。それで「上司になる」も入れてるんですが。私は社長だという方は「大口取引先になる」にでも変えちゃってくださいね。
ここからようやく、マトモなことをいくつかご紹介します。
家族カウンセリングでは、家族をシステムとして捉えます。どういうことかと言うと、家族を小さな職場だと考えてみてください。発想の転換ってやつです。
例えば、父母に息子(兄)・娘(妹)の4人家族が小さな職場だとしたら、リーダーシップを取るのは両親です。子どもは部下ということになり、兄は妹の先輩社員ということになります。
子どもが中学受験するような年齢になった親は、職場で後輩や若手に囲まれていたりもするでしょう。中間管理職的な立場で、後輩の面倒や管理をする必要性もあったりしませんか。やる気のない後輩に仕事させるのって大変じゃないですか。いまは日本中の職場が人手不足なので、ヤル気がなくても何とか戦力にすることが求められます。ではどうすればいいのか。皆さんはどうしてますか?
なんか話がすり替わったと思いましたか。いえ全然。結局のところ、職場のやる気ない後輩社員に仕事をさせるのと、何ら変わりはないということなんですよ。それが「家族を小さな職場と見立てる」の意味だったわけなんですね。
だったら、そんな後輩にはどう接していきますか。【方策2=鬼になる】なんか選んだ日には、パワハラで刺されて(会社に訴えられての意味)懲罰委員会行きは必至です。休職することになったら、子どもの中学受験的には面倒見放題でいいかも…いや、そんなわけないですよね。そもそも子どもが勉強しなくて困ってるわけですから。
職場の後輩に対して【方策1=甘やかしまくる】を選ぶひとも結構います。無責任なひとだなと、職場の他の人たちに嫌われることを全く気にしないのなら、その選択肢でもいいのかもしれません。でも周囲に嫌われたら仕事が立ちいかなくなるから、やっぱり駄目ですよね。
というわけで【方策3=上司になる】です。
・的確に褒めること
・褒めた上で「課題=やってほしいこと」を提案すること
・なるべく自己決定の場面を増やすこと
・言葉遣いに緩急をつけること
・仕事=勉強が遅くても待つこと
この【方策3】は【方策1】の真逆で「子どもをオトナ扱いする」ことにもなります。情に流されずに、客観的に子どもをみることにもなります。
褒めることは全ての基本です。「褒められたいな」と思っていることを上司も親も褒めてやる必要があります。そこを上司=親として、きちんと見極めることは基本中の基本ですよね。職場ではそれが出来ない上司が世の中いかに…(以下略)
指摘は「ほめた後で」することで素直に受け入れられやすくなります。
自分で決めることができる仕事=勉強に対しては責任が芽生え、やる気アップにつながりやすくなります。
言葉遣いを厳しい時とやさしい時などのように緩急をつけることで緊張感が生まれ、やさしい言葉をかけられることが褒賞=承認欲求を満たすことになり得ます。
そしてこの方策は、とにかく上司=親にとって「忍耐」が必要となります。「待つ」ことが大事です。信頼されていると感じてもらうためです。
「内発的動機付け」と「自己効力感」の重要性
子どもの「やる気」について、心理学的に考えると「内発的動機付け」と「自己効力感」がメチャクチャ重要です。
例えば小学校低学年の頃に「勉強してエライね~」と(親が)褒めたり、テストでいい点を取った子どもに「ごほうび」を与えるのは「外発的動機付け」といいます。子どもからすると、もっと褒められたいから、ごほうびが欲しいからこそ、やる気が高まっていくわけです。
でも、小学校高学年になる頃にはもう「続ける必要はない」はずなのです。子どもたちには「学習への自発性が芽生え、内発的動機付けが高まる」はずだというのが心理学的な考え方です。内発的というのは、自分の内面から「やる気」がわいてくるようなイメージですかね。いやいや、ウチの子が、そうならないから困ってるんだよという話だと思うんですけど。
難しい理屈は省略しますが、要するに「自分からやる気になるまで待てるなら待つ」のが本来望ましいということなんですよね。これが【方策3=上司になる】戦略の根拠でもあるわけです。
外発的動機付け=ごほうびで「やる気」を出す子が、自分から「やってやる」と変わるために【方策3】を使ってみるといいのではないですか…ということですね。「的確に褒める」という方策が、だんだん必要なくなってくることが実感できるようになれば、作戦は上手くいっていることになるわけです。
「褒めてくれないと勉強したくないよ(外発的動機付けが必要)」→「親が言うから勉強するか」→「親が勉強は大事だと言うからなあ」→「つらいけど将来のために勉強するわ」→「自分で勉強すると決めたからやる(内発的動機付けが爆誕!)」という流れで、子どもの内面は変わっていくわけです。
親は「上司」として子どもの様子を見ながら、いま「どのあたり」にいるのかを見守ればいいわけです。でも、そのためには何か起爆剤みたいなものが必要なんじゃないのと思いますよね。

そこで、もう一つのカギとなるのが「自己効力感」です。心理学者のバンデューラが「自分だったら、こんな目標を達成することはできるよ…と思える確信」のことをそう呼びました。
やる気が起こるかということと、自分の目標を現実的・具体的に決められるかということは大きく関係しているわけです。より具体的で身近な目標を立てた場合のほうが、遠くて大きい目標の時よりも自己効力感は高まります。目標をより身近なものにすることで、目標に取り組むときの自信もアップするわけです。
とにかく基礎を固めようとか、全体の7割は自力で解ける問題集をやれとか言われるのは、まさにこれが原因なのです。【方策3】を取りながら、子どもの自己効力感がついてくることが実感できれば、もうその時点で中学受験に挑んだこと自体の意味があったとも言えるのではないでしょうか。
「褒めること」で子どもの承認欲求を満たし、「自己決定の場面を増やす」ことで自己効力感を少しずつ高めていくわけです。親子の信頼関係を醸成する過程だともいえますね。
まとめ=子どもの中学受験を「あきらめないで」
もう中学受験をやめさせよう。高校受験でいいじゃないか。何度そう思ったかわかりません。でも、あきらめなくてよかった。今はそうとしか言えません。
我が家の場合は、小6の11月から2ヶ月だけ「頑張りました」。基礎の基礎の基礎の問題集に戻って、ひたすら繰り返して。少しずつ解けるようになっていって。ようやく初めて「問題が解ける喜び」を味わえるようになって。確かに遅すぎたけど、でも間に合ってよかった。それが親としての実感でした。
小6の10月に「31」だった偏差値は、12月には「40」相当になっていました。結局、第2志望に合格して「超楽しそうに」通っています。もし中学受験をあきらめていたら…と思うと冷や汗が出てきます。身の丈に合った、本人の気質に合った中高に入れたことが、本人にとって良かったということなのでしょう。
我が家の話を紹介させていただきましたが、これは今までにも何度も何度も聴いてきたような話です。中学受験は確かに「親もしんどい」です。でもそこに負けて「中受撤退」の道を選ぶと、その先はもっとしんどい道になる可能性も十分にあります。
それならば…しんどい部分は私も引き受けますから、子どものことを諦めないで、親は役者になって、「上司」になってみたらどうでしょうか。どんなお話でもご相談に乗りますので、もしよければフォームからご連絡ください。お待ちしていますね。面談方法は3種類ありますので、気楽な方法を選んでいただければと思います。
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